メメント大盛り

読んだ本の感想など。キリンジと落語が好きです。

人生にズルさがあったっていい/西原理恵子「生きる悪知恵」

2020年2冊目。西原理恵子「生きる悪知恵 正しくないけど役に立つ60のヒント」

生きる悪知恵 正しくないけど役に立つ60のヒント (文春新書 868)

生きる悪知恵 正しくないけど役に立つ60のヒント (文春新書 868)

 

波乱万丈な人生を送ってきた漫画家西原理恵子が、老若男女から寄せられた多種多様な相談にばんばん回答!「ある日突然カツラを被ってきた上司に、どういう態度を取ればいいのか…」「息子の部屋からロリコン漫画が出てきました」「犬の糞害をストップする方法は?」…いや、質問の幅が広すぎるだろ。

回答は綺麗事だけじゃない、「ずる〜」「キッツ〜」「そんなんアリ?」というのも、正直ある。ユーモアにくるみながら結構キツいことも言ってる。でも、キツいと感じるはそれが正論だと芯で理解してるからという場合もある。

いくつか個人的に刺さったものを書き留めておく。

「70社受けても内定がもらえません。私立の一流の部類の大学なのに…」という質問に、「まずは入れるところに入りましょう。『私立の一流大』って自分で言ってるあたり、きっと世間的に良い会社ばっかり受けてるんじゃないのかな。まず、自分を雇ってくれるところでノウハウを習得してから、そういう会社に入ったっていい。正面から入れないなら、横入りすればよし。どこも取ってくれないのは、逆にチャンスだよ。自分のやりたいことをすればいい。まさか22年も生きてきて、何もないなんてこと、ないよねえ?」き、きっつ〜。でも確かに、それもひとつのルートではある。新卒の採用面接なんて、運と縁の部分がかなりあると思うから。私も今の会社には下積みしてから横入りで入ってる。

「40半ばにして、全く違う仕事の部署に異動になりました…向いてないし、辛いです…」「向いてなくてもやるしかないでしょ。45歳からでも学習はできます。上司や同僚のデキるところの真似を、ひとつずつやればいい。会社だって、そうやって人を回していかないとやっぱり水が濁っちゃうから。仕事のインナーマッスルを鍛えろ!」インナーマッスルって考え方、すごくいいな。体力的な面もそうだし、仕事や学習のインナーマッスルもあるだろう。自分のインナーマッスルは…?と思ってドキリとした。嗅覚やアンテナって単語にも置き換えられそう。

 

「31歳、女性です。数年付き合っている彼氏が結婚に踏み切ってくれません。彼氏のことは好きだし、これからまた別の相手を探すのもしんどいです。彼氏をその気にさせるには、どうすればいいでしょうか?」

「彼になんとかしてほしいというオーラがダダ漏れです。それじゃ彼氏も結婚なんかしたくないよ。あなたと一緒にいても楽しくなさそうだし。本当にその彼氏のこと好きなの?固定観念で、そろそろ結婚しなきゃと焦ってない?夫婦は親友であり戦友でないと成り立たないと思うんだ。フェアじゃないと、何年も続かない。どうしてもその素敵な彼と結婚したいなら、同じ土俵に立てるだけの努力をしようよ。なぜ自分が結婚したいか、もっとよく考えてみて。頑張ってたら、もっといいのがくるかもしれないしね。」

キッツい。でもド正論。

そら文字サイズも大きくなりますわ。同じ年代の独身女性として、グサッときた。女性には出産のリミットがあるから、焦る質問者さんの気持ちもすごくわかるんだ。若さや美貌という固定資産は年々減っていくものだし。「結婚はフェアトレード、等価交換だと思うんだ。『してもらう』結婚だけはやめてね。してもらう結婚をしたが最後、恋が醒めた後にはみじめな何十年間が待っています。」必ずしもそうであるとは思わないけど、確かに結婚相手とフェアな関係でないと、どこか歪んでいくと思う。

正論ばかりというわけではないけど、そこはタイトル通りの「生きる悪知恵」。悩みに発破をかけるためにいいかもしれない。何らかのヒントはあるはず。

 

西原理恵子先生の働き方に対する考え方がすごく好きで、「男も女も働こう。傾かない会社はないし、病気にならない人間はいない。二馬力の二本柱で支え合おう。」というのを何かのインタビュー記事で読んで、ああ全くその通りだと。考え方についてはまた別の機会に改めて書きたい。

相撲、優勝はどうなるのかなー。正代と徳勝龍が平幕ながら一敗を守っているが果たして?